「自己肯定感が低くて、なんでも悪い方に考えてしまう」「どうせ自分には、できない」と生きづらさを抱えている人は少なくありません。それは、大人のみならず、小学生や中学生など子どもでも、です。
今回は、そんな中でも悩んでいる人が多い、『 悪い方に考えてしまうのは自分が悪いのか?』について考えてみたいと思います。
この記事の内容
1.悪い方にばかり考えてしまうのは私が悪いから?
ついつい悪い方にばかり考えてしまうと悩む人は、「そんなふうに悪い方に考えちゃう自分が悪いんだ」と、更に自分を責めがちです。でも、「どうしても悪い方に考えてしまう」のは、決して本人のせいではありません。
まず、なぜ「悪いほうにばかり」考えてしまうのでしょうか。「自己肯定感が低いから」で片づけてしまうのではなく、なぜ、そんなふうに自己肯定感が低くなって、悪い方に考えてしまうのか。
その原因を掘り下げてみたいと思います。
1-1.自分を守るために
結論からいうと、悪い方に考えてしまうのは、「自分を守るため」です。
過去に、否定的な言葉を言われてきたり、安心・安全な環境で過ごせなかったり、この人ならわかってもらえると期待してもその期待に応えてもらえなかった(裏切られた)経験が多かったのではないでしょうか。
そういう環境では、生き延びるために、それ以上傷つかないように心を守るために「自分で自分を責める」という予防的な戦略を本能的にとることがあります。
つまり「悪い方に考えてしまう」のではなく、そうすることによって「自分を何かから守ろうとしている」のです。
1-2.過度なしつけは、自己肯定感を下げることもある
虐待やいじめなど、明らかに誰かの悪影響ということもあるでしょう。
しかし、そういう明らかにひどいことをされたり言われた経験はなくても、安全・安心を感じにくい環境で長い間過ごしている、という場合もあります。
親が子どものためと思って、
- 「そんなんじゃ大人になってやっていけないよ」
- 「いつまでも甘えてちゃいけません」
- 「自分のことは自分でやりなさい」
と厳しく言われ続けることで、「自分は大人になってもやっていけない、弱い人間なんだ」「人に甘えちゃいけないんだ、甘えるだけの価値がない人間なんだ」と自己肯定感が下がってしまうこともあります。
大人は「そんなつもりはなくても」、子どもがそう受け止めれば、子どもにはそういう影響を及ぼしてしまいます。自己評価がさがった子どもは、人に対してあきらめてしまい、だんだん甘えなくなったり、人に頼らなくなったりします。
それが本当に「自立」や「しつけがうまくいっている」のならばいいのですが、そうではなく、傷ついたまま大人になって自己肯定感が低くて生きづらさを感じている人も多いですよね。
1-3.HSCの場合は、さらに要注意
HSCは、しつけなどの影響をひといちばい受けやすいと言われます。安心できる環境はどんな子どもにとっても大事ですが、HSCは特にそうだと思います。
また、子どもながらに周囲の人のことをよく見ています。困っている子、疲れている大人の様子にも気づきやすいといわれます。気づくからこそ、困っている子や疲れている大人がいたら、自分なりに何とかしてあげたいと思う気持ちが強い人が多いと思います。
しかし、周囲にその子のHSCの特性をわかってくれる人がいなかったりすると、その子が気づいていることを周りの大人が気づかないこともたくさんあります。
HSCの子の気づきと、周囲の人の気づきにギャップが大きいと、子どもは大人に期待しない方がいいのかな、と思いやすくなります。あるいは「自分が困っていても助けてもらえないかもしれない、見捨てられちゃうのかな」と不安を感じやすくなるかもしれません。
それが続いてしまうと、「最初から期待しない方がいい」「自分が困っていても助けてもらえなくて当然なんだ」と、誰かに何かを言われたわけでもないのに、自分でそう思い込んでしまうこともあります。
このような環境で育ち、大人になってもこの思い込みから逃れられないHSPも多いと思います。
2.「困ったときに助けてくれる人がいる」と思えることが安心につながる
ここまで読まれていかがでしょうか。確かにそんなら環境で生きてきたかもしれないと思われる方も少なくないと思います。そういう場合は、今自己肯定感が低くて生きづらいのは当然ですよね。
まず、その事に気づいて、なんて自分はダメダメなんだという言葉を、少し横に置いて見てほしいです。
また見方を変えると、「悪い方にばかり考えてしまう」「どうせ俺なんて」と、ネガティブなことばかり言考えてしまうのは、「不安な気持ちをどう扱っていいかわからない」という不安の現れです。
「困った人は、困っている人」という言葉があります。
「そんな悪いことばかり考えているから、どんどん不安になるんだ」と周りは言ってくるかも知れませんが、本人からすれば、どうすればよいかわからなくて困っているんですよね。
そんな時、「困りごとがあったら、誰かが一緒に考えてくれる」「SOSを出せば助けてくれる人がいる」と思えるだけで、心はかなり和らぎます。「困っていても誰も助けてくれない、自分には助けてもらえる価値なんてない」という孤立感が、苦悩を深めます。
「悪い方にばかり考えてしまう」「ネガティブな発言が多い」のは、助けてほしいという自分の心からのサインなんですよね。
自己肯定感が低くなるような環境で育った人は、人に頼ったり、相談したりすることも苦手な場合が多いです。ですが、一人で生きていくのはしんどいことでもあるので、ぜひそういう時に話を聞いてくれる人を1人は見つけておくことが、大切だと思います。
親や友達などリアルな人でもいいですし、SNSでの繋がりの人や、病院のカウンセラーなど、誰でもいいので「つらい、しんどい」と言える人を見つけておいて欲しいと思います。
そうして、「自分一人で、自分を守らなければならない」という状態から「自分はひとりじゃないんだ、助けてくれる人はいるんだ」と思えれば、必要以上に「予防的に自分を責めて自分を守る」という戦略をとる必要がなくなってきます。
ここまで来られれば、いつも悪い方にばかり考えてしまうと今思い悩んでいることも、だいぶ感じ方が変わってくると思います。
3.まとめ
どんな場合も、ストレスに上手に対応できるに越したことはありませんが、それ以上に「タイミングよく」対応することが大切です。
悩んでいる時、どうせ話しても誰もわかってもらえないと諦めて放置していると、どんどんしんどくなって来て、気づくと心が病んでしまうということもあります。
これくらいで休んでいたら…この程度で相談なんて…と思うかもしれませんが、早めに対処できた方が回復は何倍も早いです。
自分が今しんどいんだと気づいて認めていくことが、それが自己肯定感回復へのスタートです。
また、誰だって悪い方にしか考えられない時もありますよね。もちろん私にもあります。そういう時は、こんなんじゃだめだと自分を責めるのではなく、「ああ、私も今助けを必要としている状態なんだ、疲れているだな」と受け止めて、少しでも早く段階で誰かに話を聞いてもらったり、休んだり出来るといいですよね。
責め合うのではなく、みんな頑張ってるよねと認めあえる社会になって欲しいなと、願わずにいられません。