最近、精神科の世界で話題のオープンダイアログ。直訳すると「開かれた対話」です。
対話によって、色々な精神的不調が改善に向かうという、医者にとっては結構驚きな、でもむしろ一般の方にとっては当たり前というか「こういうのを期待してた!」という手法と言えるかもしれません。
今回はそんなオープンダイアログを癇癪がひどかったHSC息子に試して見た記録です。
この記事の内容
1.オープンダイアログをHSC息子に試して見た記録
1-1.オープンダイアログとは?
一般的には、精神科では患者と医者が一対一で話をしますが、オープンダイアログでは、チームで対応するのが原則とされます。
患者側も、可能なら家族と一緒に。一対一ではなく、多対多。これだけでも雰囲気がだいぶ違います。
ただ、日本の精神医療の現場ではまだまだ浸透はしていません。残念ながら人手も時間も足りないので、やりたくてもできないのが現状です。
とはいえ、学ぶべきことはたくさんあります。
このオープンダイアログで、「リフレクティング」という少しかわった話し合いの時間が設けられます。
患者本人の前で、でも「本人抜きで」治療者同士が患者さんのことを話し合います。
本人の目の前で、噂話をするイメージです。めっちゃ気になりますよね、目の前で自分のことをどんな風に話し合われるのか…
リフレクティングでは、治療者同士が患者の努力をほめたり、治療方針についての自分のアイディアを話し合ったりします。すると患者としても、面と向かって「あなたはちょっと、こうした方がいいんじゃないか」とアドバイスされるよりも、わりと素直に聞けるということがあります。
(斎藤 環 監修、「まんが やってみたくなるオープンダイアローグ」より)
治療者と患者が一対一ではないため、「治療者同士」で話ができるわけです。その治療者同士の話を患者さん本人にも聞いてもらう。一般的な診療場面ではあまりみない光景だと思います。
通常ならば、治療者が患者を観察するものと思うかもしれませんけれども、リフレクティングでは、患者に治療者を観察してもらうことになります。治療者の迷いやためらい、治療者間の不一致や対立も、観察の対象になります。このとき患者には、何か答えを出さなきゃいけないとか、選ばなければいけないという圧力をあまり感じずに、わりと自由に選択する余地が生まれてきます。このようにして患者は、自分が主体的に判断していいという余裕、余白、スペースを回復していきます。
(同上)
2.実録!HSC息子にオープンダイアログを試して見た
この「リフレクティング」、誰でも家でできて、子育てにもすぐ応用できるんじゃなかろうか…
上記の文章も、
治療者→親
患者→子ども
として読んでも、ぴったりきますよね。
もちろん、子どもが病気という意味ではなく、立場的に、ということです。
そう思って、5歳になるHSC息子相手に、我が家でも夫婦でやってみました。
効果は…想像以上でした。
HSCについて知りたい方はこちら
会話はこんな感じです。
この頃、夜になると息子の機嫌が悪くなるということが続いていました。
「そろそろ寝るよ」とか「もう遊びは終わりね」と、いつもと変わらない言葉で寝ることを促すと、急に怒り出して止まらなくなりました。
そうなると何を言っても聞かないし、取り付く島がなくなってしまう。なんとか布団に入っても、まだご機嫌ななめ…
そこで、本人とは話ができないこともあり、「親同士で」話をしてみました。
2-1.実際の会話
パパ:う、そう思うと5歳がイライラしちゃうのも仕方ない感じがしてくるね。最近しっかりしてきてるけど、まだ5歳だもんね。
まだまだ甘えたい時期だし、怒って暴れてって表現できるのも大事だよね。
この間10分もなかったんですが、寝ている息子を見た時は本当に驚きました。
なぜなら息子は赤ちゃんの頃から寝るのが苦手で、寝かしつけに1時間以上かかるのも、絵本を5冊以上読むのも当たり前だったんです。
10分で寝た、しかも絵本も読んでいない、一体何が起きたのかと思いました(笑)
2-2.翌朝息子に聞いてみた
本当に驚いたので、翌朝息子に聞いてみました。昨日はママとパパがお話してる間に寝てたけど、安心できたのって。
すると息子は、最近暴れちゃってたからママとパパが僕のこと嫌いになったと思ってたと話してくれました。
普段から、暴れてしまったあとも、そういう息子も大好きなんだと毎回伝えていましたが、それでも不安でいっぱいだったようです。
大好きという言葉で言われるよりも、親が自分のことで会話をしていて、頑張りを認めてくれている、暴れる自分でも好きだと思ってくれているとようやく伝わったのかなと思いました。
3.子どもは親が思う以上に、親にどう思われているのかを気にしている
本人の前で親二人で話をするわけですが、ポイントは、何かの解決を目指したり、本音を探るとかはしないということです。
「こうあるべき」といった正論を述べたり、叱咤激励などの親の期待みたいなことも控えます。説得の場ではないので。
あくまで、それぞれの思いを述べ合う。述べてそれで終わりでいい、ただ聞いていてくれればいい、というユルイ感じです。
もちろん、本人が傷つかないよう、言い方には気をつけます。
特に子どもは、親にどう思われているかを気にします。HSCならなおさらでしょう。
機嫌損ねたあとや、学校や幼稚園に行きたくない、休んでいる時など、後ろめたいときは特に。
- 「困らせちゃったな…」
- 「嫌われちゃったかな…」
- 「面倒くさいって思われてるだろうな…」
- 「僕のことなんて、いない方がいいって思ってないかな…」
それを直接確認するのも怖いし、落ち着いて話をする自信もない。でも、どう思われてるか気になる…
そんな心理状態のときに、目の前で親同士が自分のことを話し合ってたら、めっちゃ気になりますよね。顔をそむけてても、耳はそばだてて聞いてしまいます。
そこでの話し合いが、自分のことを心配してくれてるとか、責めずに寄り添おうとしてくれてる、色々考えてくれてる、ということが伝われば、それだけでも閉じていた心が開かれてきます。
親同士で話し合う内容は、あくまで親の意見なので、合ってるかどうかはわかりません。
分かるかどうかよりも、分かろうとしてくれているかどうかの方が大事なのかもしれません。
- 「そんなことまで考えてくれるんだ…」
- 「責めずに味方でいてくれるんだ…」
そんな思いになってくれれば十分なわけです。
また、話している内容が「違うよ!」というものであれば、本人に対話に参加してもらう(割り込んできてもらう)のもアリです。
それはそれで、話が盛り上がりますし、本音が聞けますからね。
4.まとめ
オープンダイアログは、子どもが反抗期だったり、不登校だったり、親子の会話が難しくなってしまったときにも応用しやすいと思います。
- 「本当は大好きなんだ」
- 「元気でいてくれれば、それで本当は十分なんだよ」
- 「生まれてきてくれて、たくさんの幸せをもらって、もう十分親としての喜びはもらってるんだよ」
子どもが成長すると、そんな本音ほど、本人には面と向かっていうのは恥ずかしかったり、言いにくかったりしますよね。
言われた方も、照れてごまかしてしまうかもしれません。でも、つらいとき、困っているときは、そういう本音の部分こそ伝えたいですよね。
そういう伝えにくいことを、直接ではなく、親同士のやり取りとして間接的に伝える方法の一つとして、このリフレクティング(オープンダイアローグ)が参考になれば幸いです。
【参考サイト】https://www.hakuhodofoundation.or.jp/kodomoken/column/talks/talk01/
【参考文献】
「まんが やってみたくなるオープンダイアローグ」
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