学校を休むようになり、様子を見ているけれども中々よくならない。それどころか、休んでいるはずなのにどんどん元気がなくなって、食欲も落ちたり、部屋から出てこなくなり、風呂にも入らなくなったり…。
そんなケースもあるかもしれません。今回は、休んでいるのに無気力な状態が続いている子の対応について、考えてみました。
1.不登校の原因は、わからないままでもいい
家でも元気がないお子さんの場合、親御さんとの会話も少なくなっていることが多いかもしれません。「学校の何がイヤなの?」「どうして学校にいけないの?」と聴いても、返事が返ってこない。それだけでなく、聞けば聞くほど怒りだして、暴れだすこともあるかもしれません。
こういう場合は、本人も理由がよくわからないこともあるため、あまり原因を探ろうとしない方がいいこともあります。「なんでいけないの?」という質問が、「理由があるならいって。理由を言えないのは、怠けてるからなんじゃないの?」という意味に感じられてしまうこともあり、子どものこころが閉じてしまう可能性もあるからです。
参考:
2.まずは、家で元気に過ごせることを目指す
特に、家でも元気がない場合は、まずは休養することが必要です。家でも元気がないのに、外(学校)で頑張るのは相当しんどいはずです。
また、しばらく学校を休んでいるのに、全然元気にならない、無気力な状態が続いているのだとしたら、2つの可能性が考えられます。
2-1.相当無理をしている
1つ目は、相当無理をして気を張って学校に行き続けていて、学校を休むことでやっと気を抜けて、疲れがどっとあふれ出てきている状態です。
一度気を緩めると、張りつめた糸が切れてしまうかもしれないと思うと、気を緩めることもできずに頑張り続けていたのかもしれません。もしそういう状態だとしたら、一度、その疲れを吐き出しきることが大切です。たっぷりダラダラして休めれば、やがて動けるようになってきます。参考:
2-2.学校は休んでいるけれど、心が休まっていない
もう一つの可能性は、学校は休んでいるけど心が休まらないのかもしれません。
不登校になる子は、サボりたいとか、なまけていると思われがちですが、むしろ反対の子が多いと思います。サボりたいと思ってサボれる子は、ストレスが大きくなる前にこまめに休むので大きく崩れにくいはずです。
一方、「学校は行くべき」「皆と同じことをしていなければいけない」などと、自分に厳しい子が、限界まで頑張って、それ以上はもう無理、となったときが、学校に行けなくなる時です。「行かない」のではなく「行けない」のです。その気持ちは、学校を休むようになってからも続いていることが少なくありません。
そうなると「学校に本当はいかなくちゃいけないのに、いけていない自分はダメなヤツ」「皆ができてることが、自分にはできない弱い人間なんだ」などと、罪悪感にさいなまれ、自分を責めてしまうことになります。
こういう子には、親御さんがはっきりと「学校は行かなくてもいいよ。あなたが元気に過ごせるようになることの方が大事だよ」と言葉で伝えてあげてほしいと思います。親は親で「何か言うと怒るから、そうっとしておこう」「今は見守るしかないかな」と思って、黙って本人のやりたいようにやらせておく、という話をよく聞きます。
しかし、上記のようにはっきりと言葉で「今は休んでいい」と言ってもらわないと、実は心の中で激しい自己批判の嵐が吹きすさび、休んでいるようで全然休めていないということがあります。それが、無気力、うつ状態となって現れてくることもあるのです。
子どもが、学校に行けなくなってなお、「学校は行くべきである」というルールに縛られているときは、親御さんが、「今は休んでいい」とはっきりと伝えていただき、世間の常識という名の呪いから守ってあげてほしいと思います。
親御さん自身も、本当にそんなこといっていいのか不安になることもあると思いますので、そういう時は、病院などの相談機関で相談に乗ってもらいましょう。
参考:
3.まとめ
子どものつらそうな姿を見るのは、親御さんもツラいと思います。休んでいるのに回復しないと「何か変だ」と思われるのは当然で、それには何か理由があるはずですから、それを知りたくなるのも当然です。しかし、理由がわからなければ回復しないわけでもありません。
まずは、「ちゃんと休めれば、だんだん元気になるはず」と信じて、「ちゃんと休めるように」、状況を整えることが大切です。そのために「休んでいいんだよ」という太鼓判と、「学校に行けなくても、あなたは大切な存在だよ」という存在そのものを肯定するメッセージを送り続けてください。きっと徐々に自然な笑顔が戻ってきて、元気な姿が帰ってくるはずです。