「何か原因があるわけじゃないのに、なんとなく生きづらい」
「仕事に行くだけで、休日はぐったり…」
「周りの人が当たり前のようにやっていることが、自分はものすごく頑張らないとできない」
「一人の時間がないと頭がおかしくなりそう…」
なんて悩んでいませんか?
また、それらを周りの人に話すと、
「気にしすぎじゃない?」
「考えすぎだよ」
「神経質なんだね」
などと言われて、落ち込んだ経験はないでしょうか?もしかするとあなたはひといちばい敏感な人(HSP)かもしれません。
HSPとはどんな人なのか、よくある誤解も合わせてご紹介します。
この記事の内容
1.ひといちばい敏感な人(HSP)ってどんな人?
HSPとは、アメリカの心理学者、エレイン・アーロン先生が提唱された概念です。
Highly Sensitive Personの略で、「ひといちばい敏感な人」や「繊細さん」などと訳されています。
感覚や人の気持ちにとても敏感で、ちょっとしたことにも気づく、気遣いに長けていると同時に、強い刺激に圧倒されたり、多くの人の中にいると、すぐにつかれてしまったりするという特徴もあります。アーロン先生によると、5人に1人くらいの割合で見られると言います。
2.HSPのチェックリスト
チェックリストはインターネットで検索すると色々出てくると思います。
ここでは、アーロン先生の作られているものをご紹介します。
1.自分を取り巻く環境の微妙な変化によく気づくほうだ
2.他人の気分に左右される
3.痛みにとても敏感である
4.忙しい日が続くと、ベッドや暗い部屋などプライバシーが得られ、刺激から逃げられる場所に引きこもりたくなる
5.カフェインに敏感に反応する
6.明るい光や強いにおい、ザラザラした布地、サイレンの音などに圧倒されやすい
7.豊かな想像力を持ち、空想にふけりやすい
8.騒音に悩まされやすい
9.美術や音楽に深く心を動かされる
10.とても誠実である
11.すぐに驚いてしまう
12.短時間にたくさんのことをしなければならない場合、混乱してしまう
13.人が何か不快な思いをしている時、どうすれば快適になるかすぐに気づく(例えば電灯の明るさを調節したり、席を替えたりするなど)
14.1度にたくさんのことを頼まれるのが嫌だ
15.ミスをしたり、忘れ物をしたりしないよう、いつも気をつけている
16.暴力的な映画や、テレビ番組は見ないようにしている
17.あまりにもたくさんのことが自分の周りで起こっていると、不快になり神経が高ぶる
18.生活に変化があると混乱する
19.繊細な香りや味、音楽を好む
20.普段の生活で、動揺を避けることに重きを置いている
21.仕事をする時、競争させられたり、観察されたりしていると、緊張していつもどおりの実力を発揮できなくなる
22.子どもの頃、親や教師は自分のことを「敏感だ」とか「内気だ」と思っていた
出典:エレイン・N・アーロン著『ささいやことにもすぐに「動揺」 してしまうあなたへ。』
2-1.HSPチェックリストの見方
以上の質問のうち、12個以上に「はい」と答えた方はおそらくHSPでしょう。
しかし、どんな心理テストよりも、実際の生活の中では感じていることの方が確かです。
たとえ「はい」が1つや2つしかなくても、その度合いが極端に強ければ、HSPかもしれません。
3.HSPには必ずある4つの特徴 DOES
HSPのチェックリストをやってみて、「12個以上当てはまっているけど、本当にそうなのかな?」
「私はHSPだと思って大丈夫だろうか?」と思われた方はないですか?
反対に、「11個以下だけど、本当に違うんだろうか?」と思われた方もあるかもしれませんね。
HSPをより深く知って頂くために、HSPの根底に必ずあると言われる4つの面(DOES)から見ていきます。
アーロン先生は、4つのうち1つでも当てはまらない場合は、おそらくHSPではないと言われています。具合例を交えながら説明したいと思います。
※具体例は一HSPである私の感覚であり、人それぞれ違う部分もあるので、当てはらない場合もあります
3-1.D:深く処理する
- 常に最悪を想定して行動する
- 相手の反応を見て、自分が何かしたのでは?と不安になってしまう
- 1聞いて10、場合によっては100くらい想像が膨らむ
- 何かを決めたり、購入する時に、他に選択肢はないのか、一通り考え尽くさないと決められない
3-2.O:過剰に刺激を受けやすい
- 10のことを100と受け取る
- イベントが終わると寝込む
- 感動しやすい
- ワクワクやドキドキした日はなかなか眠れない
- 薬の副作用が出やすい
3-3.E: 感情反応が強く、共感力が高い
- 人が怒られていると、自分の事のように感じてつらくなる
- 怒っている人がいるとソワソワする
- 映画やニュースの映像やセリフを受け取りすぎて、生活に支障を来すことがある
3-4.S:ささいな刺激を察知する
- 人の髪型、体調の変化にすぐ気づく
- 天気や気圧の変化が体調に影響する
- 添加物の多い食品を食べると具合が悪くなる
- ささいな匂いに酔ってしまう
これら4つの特性がすべて存在していたら、おそらくHSPで間違いないと思います。
4.HSP よく聞かれる誤解
HSPのお茶会を開催する中で、よく聞かれる誤解がいくつかあります。一部ですが、紹介します。
4-1.HSPは病気なの?
HSPは病気の診断名と誤解される方が多いですが、HSPは生まれつきの気質であり、病気ではないです。
ですので、薬や治療によって治るということはありません。また、生まれつきのものなので、環境や育てられ方によってHSPになるということもありません。
4-2.HSPならみんな優しい?
HSP、繊細、敏感と聞くと、
- 優しい
- 配慮ができる
- 内向的
- 静かな場所が好き
- おとなしい
- 涙脆い
- 人付き合いが苦手
こんなイメージはないでしょうか?
敏感、繊細という言葉からは、こういうイメージがありますが、そうとは限りません。
HSPはその人を構成する一部でしかないからです。
- 生まれ持った性格
- 育った環境
- 出会ってきた人
- 周りに同じ気質の人がいたかどうか
など様々ですよね。
また、敏感に感じるレベルも、何に敏感なのかも様々です。私自身、チェックリストなどではほぼ当てはまりますが、人見知りはしないし、人と話すのは得意なため、初対面の人には「本当にHSPですか?」と良く聞かれます(笑)
HSPと言っても、見た目や言動で判断できるものではありません。人のつらさや痛みに敏感なので、優しい人は多いはずと思われることも多いですが、どんな言動を『 優しい』と感じるかも人それぞれなので、HSPならみんな優しいとは限りません。
4-3.生きづらいのはHSPのせい?
HSPの中には、毎日いろんなことにビクビクしてしまって、ただ生きることに疲れ果ててしまう人が多いですよね。こんなに生きづらい毎日をまだ何年も続けるのかと思うとぐったりすると言う声もよく聞きます。
では、そもそもHSPは生きづらい人達なのでしょうか?結論から言うと、HSPの気質は、生きづらさの原因になりうると思います。
私もどうしようもなく生きづらくて、うつ病を患った時期があるので、とてもよくわかります。ただ、HSPがみんな生きづらいのかというとそうでもありません。
生きづらさを抱えることなく、繊細さをむしろ発揮して生きている人もたくさんいます。私も、HSPの気質は今も昔も全く変わっていませんが、今は生きづらさはあまり感じていません。
それはなぜかと言うと『 気質と上手く付き合えるようになったから』だと思っています。HSPの敏感さは変えられませんが、生きづらさは変えることができます。
これについては長くなるのでまた別の記事にまとめたいと思います。
5.まとめ
HSPは生きづらくて悩んでいる人が多いですよね。
これから、どうやってこの気質と付き合っていけばいいのか、このサイトでも私の体験も交えて書いていきますが、1番大事なことは、『 HSPとはどんな気質なのかよく知ること 』だと思っています。
HSPという入口を通して、あなた自身を知ることができるからです。自分自身、どんな人間なのか知っていくと、本当にいろんな発見があります。
HSPの人たちがその敏感さを活かして生きていける世の中になることを願っています。