HSCについてたまに聞かれることがあります。それが、「わたしの育て方のせいで、この子は敏感な子(HSC)になってしまったんじゃないか…」というもの。
今回はこの事について、私の意見をまとめたいと思います。
1.HSCは親のせい?育て方が原因でHSCになるの?
1-1.HSCとは?
HSCとは、アメリカの心理学者、エレイン・アーロン先生が提唱した概念です。
Highly Sensitive Childの略で、ひといちばい敏感な子と言われ、5人に1人の割合で存在します。
またHSCは病気ではなく、生まれつきの気質です。そのため、育て方でHSCになるということはありません。
2.HSCの育てにくさは、親の育て方の結果ではない
自分の育て方のせいで、育てにくいHSCになってしまったんじゃないかと誤解して悩んでいる方は、そのように悩むきっかけが色々あると思います。
HSCを育てている親がよく言われる言葉にもその原因がある気がします。
それが、「そんなに甘やかせて育てているからそんな弱い子になるんだ」などという言葉。
毎日悩みながらも一生懸命育てているのに、こんなことを言われたら、心が折れそうになりますよね…。
これは本当なのでしょうか?子育てハッピーアドバイスで有名な明橋先生はこのように言われています。
子どもの要求を受け入れるのは、 「甘やかし」ではありません
HSCを育てる親御さんが、周りからよく言われる言葉があります。
「過保護だ」とか、「子どもの言いなりになりすぎ」などの言葉です。確かに、HSCに対する、親御さんの接し方は、周囲から見ると、そのように見えることがあります。
例えば、保育園に連れていっても、激しく泣いて、母親から離れない。子どもが、食べ物の好き嫌いが多い、それを親が受け入れている。そしてさらに言われることは、「だから、子どもがそんなに臆病になるんだ」とか、「だから、子どもがわがままになるんだ」など。要するに、親がそのような間違った育て方をしているから、こういう子どもになるんだ、という言い方です。
しかし私はそのようなとき、親の育て方は、子どもの行動の「原因」ではなく、 「結果」かもしれないと考えてみましょう、と言っています。過保護だから、保育園になかなかなじめないのではなく、もともと敏感な特性があって、新しい環境になかなかなじめない、不安が強い、だから、親御さんがしばらく子どもの相手をせざるをえなくなる。ちょっとしたにおいや味に敏感なので、においの強い食材などが苦手。 今までさんざん、無理にでも食べさせようとしたけれど、そうすると、よけい泣きだしたり、食事の時間が
お互いにつらいものになったりした。だから、親御さんが結果として、子どもの味の好みに合わせるようにした、これも、親の行動は、「原因」でなく、「結果」です。
親の接し方が、子どもの行動の「結果」なのに「原因」だと思ってしまう誤り、ここか
ら、多くの支援の現場で、困っている親御さんがよけいに追い詰められる状況が生まれる
のだ、と感じています。
HSCは、空腹や労、恥ずかしさやイライラなど不快な状況になると、すぐに不安定
になったり、自制心を失い、言うことを聞けなくなったりします。それを避けるために、
子どもの要求を受け入れることは決して「甘やかし」ではなく、必要なことなのです。明橋大二著『HSCの子育てハッピーアドバイス』より【1】
これを初めて目にした時、これまでの大変さが報われた思いがしました。とにかく大変で、試行錯誤しながらやってきたことを、育児のワンシーンだけをみて、「そんな育て方をしてるからダメなんだ」と言われてきました。
でも、育て方の問題ではなくて、子どもの特性に合わせて、一生懸命子どもに向き合って育ててきたからこそ、この育て方になっているんですよね。
もっと、この、親の接し方が、子どもの行動の「原因」ではなく「結果」なのだと言うことが知られて欲しいなと思います。
3.まとめ
今回は、育て方でHSCになることがあるのかについてまとめました。
HSCを育てていていく中で、その関わり方には批判が多いですが、それも甘やかすから育てにくい子になるのではなく、あくまで親の接し方は子どもの行動の「原因」ではなく「結果」だと言うことです。
HSCもそうじゃない子も、そしてそのおやもみんながのびのび過ごせる世界になって欲しいなと願います。
【参考文献】