HSCという言葉をご存知でしょうか?
ひといちばい敏感な子どもたちのことをいいます。
最近になってだんだんと知られるようになってきましたが、まだまだ知らない人の方が多いなと感じています。
HSCについてまとめました。
この記事の内容
1.ひといちばい敏感な子(HSC)とはどんな子?
HSCとは、アメリカの心理学者、エレイン・アーロン先生が提唱した概念です。
Highly Sensitive Childの略で、ひといちばい敏感な子と言われ、5人に1人の割合で存在します。
1-1.HSCのチェックリスト
HSCかどうかを判断するために、アーロン先生が作られたチェックリストをご紹介します。
次の質問に、感じたままを答えてください。
子どもについて、どちらかといえば当てはまる場合、あるいは、過去に多くあてはまっていた場合には、「はい」。
全く当てはまらないか、ほぼ当てはまらない場合には、「いいえ」と答えてください。
- すぐにびっくりする
- 服の布地がチクチクしたり、靴下の縫い目や服のラベルが肌に当たったりするのを嫌がる
- 驚かされるのが苦手
- しつけは、強い罰よりも、優しい注意のほうが効果がある
- 親の心を読む
- 年齢の割りに難しい言葉を使う
- いつもと違うにおいに気づく
- ユーモアのセンスがある
- 直感力に優れている
- 興奮したあとはなかなか寝つけない
- 大きな変化に上手く適応できない
- たくさんのことを質問する
- 服がぬれたり、砂がついていたりすると、着替えたがる
- 完璧主義である
- 誰かがつらい思いをしていることに気づく
- 静かに遊ぶのを好む
- 考えさせられる深い質問をする
- 痛みには敏感である
- うるさい場所を嫌がる
- 細かいこと(もののいどう、人の外見の変化など)に気づく
- 石橋をたたいて渡る
- 人前で発表するときには、知っている人だけのほうがうまくいく
- 物事を深く考える
出典:明橋大二著『 HSCの子育てハッピーアドバイス』
13個以上に「はい」なら、お子さんはおそらくHSCでしょう。
しかし、心理テストよりも、子どもを観察する親の感覚の方が正確です。
たとえ、「はい」が1つか2つでも、その度合いが極端に強ければ、お子さんはHSCの可能性があります。
1-2.HSCはどんな特徴があるの?
HSCと言っても、何に敏感なのか、どの程度の敏感さなのかは、その子その子で変わります。
また、HSCは生まれつきの気質なので、赤ちゃんの頃の特徴は以下のようなものがあります。
- 眠らない、すぐ目を覚ます
- よく泣く
- 周りをよく見る
私にもHSCの息子がいますが、まさに上記の通りの子どもでした。
眠るのが苦手で、寝たと思ってもちょっとした物音や動きで目を覚まします。
そして本当によく泣いていました…
新しい場所に行くと、すぐに遊び出すことはなく、まずはじっくり場所と人を観察していました。
年齢が上がるにつれ、少しずつ変わってきますが、常に周りを見ている、相手のことを気遣ってしまうので、
ついつい自分が後回しになるというのも、よくある特徴ではないかと思います。
2.HSC誤解あるある
HSCは結構誤解があるなと感じています。
主なものはこんな感じです。
2-1.HSCは病気ではない
HSCと聞くと、発達障害や病気の診断名と思われる方もあるかもしれませんが、HSCはそうではありません。
あくまで気質ですので、治療や投薬で治るものではないです。
ですので、病院などに行って、子どもがHSCかどうか「診断」されるものではありません。
また、HSCは病気ではないので、医師も診断の対象としてはみないことが多いと思います。
ただ、子どもが表に出してくる困り事(寝ない、偏食、癇癪、こだわりなど)は、HSCも発達障害もかなり似ていると思うので、
ちょっと他の子と違うかもと心配な場合は子育て支援センターや病院に相談されるといいと思います。
HSCか発達障害の見分け方については、こちらの記事で少し触れています。
2-2.HSCは育て方や環境によってなるものではない
HSCは生まれつきの気質です。
よく、HSCの敏感さはわがままと言われがちです。
- 偏食なのは親が好きなものしか食べしていないからだ
- すぐ構うからよく泣くんだ
- 甘やかしすぎ
HSCを育てる親はこんな言葉をかけられることが多いのではないでしょうか。
私がそうでした(涙)
でも決して、親が甘やかして育てたから、敏感になったわけではありません。
敏感な子だったから、子どもに合わせて、考えて努力して対応してきたんですよね。
周りからはわがままと言われるかもしれませんが、その対応は子どもにとって大切なことだと思います。
子育てハッピーアドバイスで有名な明橋大二先生は著書の中でこのように言われています。
「甘やかすからわがままになる」というのは間違いです。
子どもの要求を受け入れるのは、「甘やかし」ではありません
まず、HSCを育てる親御さんが、周りからよく言われる言葉があります。
「過保護だ」とか、「子どもの言いなりになりすぎ」などの言葉です。確かに、HSCに対する、親御さんの接し方は、周囲から見ると、そのように見えるこ
とがあります。例えば、保育園に連れていっても、激しく泣いて、母親から離れない。
子どもが、食べ物の好き嫌いが多い、それを親が受け入れている。そしてさらに言われることは、「だから、子どもがそんなに昭病になるんだ」とか、「だから、子どもがわがままになるんだ」など。
要するに、親がそのような間違った育て方をしているから、こういう子どもになるんだ、という言い方です。
しかし私はそのようなとき、親の育て方は、子どもの行動の「原因」ではなく、「結果」かもしれないと考えてみましょう、と言っています。
過保護だから、保育園になかなかなじめないのではなく、もともと敏感な特性があって、
新しい環境になかなかなじめない、不安が強い、だから、親御さんがしばらく子どもの相手をせざるをえなくなる。
ちょっとしたにおいや味に感なので、においの強い食材などが苦手。
今までさんざん、無理にでも食べさせようとしたけれど、そうすると、よけい泣きだしたり、食事の時間がお互いにつらいものになったりした。
だから、親御さんが結果として、子どもの味の好みに合わせるようにした、これも、親の行動は、「原因」でなく、「結果」です。
親の接し方が、子どもの行的の「結果」なのに「原因」だと思ってしまう誤り、ここから、多くの支援の現場で、困っている親御さんがよけいに追い詰められる状況が生まれるのだ、と感じています。
明橋大二著『 HSCの子育てハッピーアドバイスより』
これを目にした時、すごくほっとしました。
それまで私がやってきたことは、周りがなんと言おうと合っていたんだなと思えて報われた気持ちになりました。
HSCは親の気持ちにもとても敏感です。
だからこそ、親が不安になるような言葉をかけてくる人からは全力で距離を置く、これも大事なことだと思います。
毎日子供に向き合うって本当に大変ですよね…
責めてくるのではなく、よく頑張ってねと言ってくれる人を1人でも多く見つけておきたいですね。
2-3.HSCと言ってもみんな違う
いろんな刺激に敏感と聞くと、いつもビクビクしていて内気な子、というイメージはありませんか?
しかし、HSCと言っても、本当にそれぞれです。
HSCの気質の他に、生まれ持った性格、家庭環境、育つ場所の環境、出会う人達はみんなそれぞれですよね。
また、何に敏感かも多岐に渡ります。
- 音
- 匂い
- 触感
- 味
- 人間関係
- 見た目
すべてに敏感な子もいれば、いくつかに敏感な子もいます。
1場面だけ見てHSCじゃないとは言いきれないと思います。
2-4.HSCの中にも刺激を求めるタイプの子がいる
また、HSSと言われる刺激探求タイプの子もいます。
敏感なのに刺激も求めるという、一見真逆じゃないの?と言われるようなタイプです。
ちなみに、私も息子もこのタイプです。
このタイプの子は、見た感じではHSCに見えないと思います。
とても元気で好奇心旺盛、なんでもやってみたい、でもすぐ不安にもなるからよく泣くし、夜泣きも激しい…
親としては、そんなに泣かなきゃ行けないくらいなら、刺激を受けに行かなきゃいいのにと思うこともよくあります(笑)
HSCの中でもこの刺激探求タイプの子は、育てにくいと言われているようです。
3.まとめ
いかがでしたか?今回はHSCについてざっとまとめました。
HSCだからみんな配慮してということではなく、敏感な子が行きやすい社会は、すべての人が生きやすい社会だと思うので、HSCについての認知が広まっていくと嬉しいです。
そして、いろんな特性の人がいるけれど、みんながお互いに「頑張ってるよね」と言える世界になって欲しいなと願っています。